デッ築道 #03 速さのその先へ(前編)

#03 速さのその先へ(前編)

「このカード、強い?」ペラッ
「弱い」
「じゃあこれは?」ペラッ
「難しい」
「じゃあ・・・」
 ・
 ・
 ・
「・・・ええいっ!どのカードが強いだの何だのそんなもん自分で判断せいッ!!」

最強を求めた戦いから一夜明け、今日もデッキ構築・・・というよりは「強くて使いやすいカード」を吟味している少年。
どうも昨夜の敗戦により最強を求めるのは一旦中止したらしく、今度は最速かつ便利なカードを求め始めた。

世間ではやれ革命チェンジだの侵略だのとたいそう速くて強いカードが人気だが、ウチにはそんなものはない。

じゃあどうする?

「火単の速攻で行くよ」

「そうか、赤単速攻か」

「それ、赤単速攻を執行する!」

・・・・・執行?
キンキラキンのメタリカ使えよ

赤単速攻とは!
速いは強い!強さは速さ!を体現する、デュエル・マスターズ黎明期より存在する由緒正しいデッキタイプである!!

赤単速攻なら非常に分かりやすい。
昨日の「無限オージャ」の様に軽量ブロッカーで守りつつフィニッシャーを進化で育てるなどという難度の高さもない。
昨日の敗戦で得た教訓が活かされているのだろう。使いにくさを解消する方向にシフトチェンジしている。
何より少ないカード資産で何とかしようという気概が見て取れるのが素晴らしい。

しかし一抹の不安。
話だけ聞くと少年が初めて作ったデッキ「ブレイズ速攻」に回帰しているような気がしてならない。
あれはコスト3以下のとにかく殴れるクリーチャーを矢継ぎ早に繰り出すというだけの何の工夫もないデッキだった。
結果それはパンプアップ(パワーを増強)された無限ブロッカーへの特攻を以て短い生涯を終えている。
さすがに同じ轍は踏まないだろうと思ってはいるが果たして。

デッキビルディング途中にこちらを見て何とも不気味な笑いと共に、



と宣言され若干の苛立ちを覚えたのは余談である。
しかし今回の自信のほどはいつも以上で最終確認にも余念がない。

「出来た!最高速の火単速攻!」




お互いのデッキをシャッフルし、いよいよデュエル開始。
赤単速攻(少年)VS ジョーカーズ(私)

少年1ターン目
マナチャージのみでターンエンド!
少年2ターン目
マナチャージのみでターンエンド?
少年3ターン目
マナチャージからのチャージャー空打ちでターンエンド。
少年4ターン目
マナチャージのみでt

ちょっとまて。

速攻とか言っておいて少年4ターン目が終わって出したクリーチャー0とはこれ如何に。
マナゾーンにおいてあるカードを見ると異様にコストの高いカードばかり。

少年5ターン目のドローで「よっしゃあ!」の声と共に繰り出してきたのはまたしてもチャージャー呪文。そしてようやくコスト1の例のやつを2体召喚。一体何が始まるんだ。

少年、私5ターン目の攻撃を何とかニンジャ・ストライクで乗り切るも残るシールドは0。

少年6ターン目、ドヤ顔からコスト8を支払い召喚したのは・・・・


スピードアタッカー、Q(クアトロ)・ブレイカー!!
《爆剣豪 グレンモルト》!!
パワー18000の大型クリーチャーの登場ですッ!

このカードをバトルゾーンに置くや否やその手はそのままカードをタップさせ、「アタックッ!プレイヤーッ!」と高らかに攻撃宣言ッ!!

クアトロなのでこれで4枚ブレイクされたらシールドが5つから一気に1つに減ってしまいます。
これは負けたかもしれません。

ほんと、手札にニンジャ・ストライクがなければ負けていたかもしれません。

しかし少年のキラキラした目にモノクロの現実を突き付けるのは心が痛みますので、ニンジャで止めずに攻撃を受けることにします。

クアトロ・ブレイクッ!!

後編へつづく

#04 速さのその先へ(後編)≫

≪#02 最強のデッキが欲しい!

この物語は実話をもとに構成されているフィクションです



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