デッ築道 #02 最強のデッキが欲しい!

#02 最強のデッキが欲しい!

「最強」
最も強いという事を意味するこの二文字の言葉は、いつの時代も少年たちを熱くさせる。
腕相撲、サッカー、鉄棒、かけっこetc・・・
「最」も優れた「強」者のみに授けられるこの称号は少年たちの畏敬の念の対象であり、そしてまたこのデッ築道を歩み始めた少年も最強に陶酔し、その「最強デッキ」製作に励んでいた。

「このクリーチャー出して・・・・これに進化して・・・・」

少年の「理想ベース」で展開される模擬戦は凄まじい。
他者の妨害などを一切考慮しないそれは連戦連勝のオレ最強道を突き進む。

しかしどうもこの「最強デッキ」はややこしいらしい。

曰く「最強のクリーチャーは簡単ではない」らしくそれだけにとても価値があり、成功確率は高くないけど出せれば最強とは彼の弁。

「もうそれのどこが最強か」というツッコミ待ちなのだろうか。触れないでおく。
(しかし最強への道のりが険しいという事は理解しているのか、そこは感心。)

そこからしばらくの調整を経て、自信満々の顔で完成の報告。
いざデュエル。

・・・ビートル?・・・・。
・・・・・え・・・・あ・・・・。
・・ハカイ・・・・・イレクト・・。

最強のデッキ、5ターンで陥落。
最強のクリーチャー、姿形も見えず。
彼はコスト踏み倒しメタなんて、マナ送り呪文なんて、とにかく相手の妨害なんて一切考えていなかった。

「これゴミデッキだ」

少年は敗北後そう呟きカードの束を放り投げ、最強デッキは瓦解した。

The way to "The Master of Deck Building" is far ...

今回の教訓

君一人でやってるんじゃない

カードゲームは一人ではなく二人で遊ぶもの。
自分にやりたいことがある様に相手にもやりたい事がある。

自分の言い分(やりたいこと)を通したいのであれば、それが通るだけの根拠(構成)を考えなければならない。

ものは大事に

ものは大事に扱う事。
物でも、者でも。
自分のものを大事に扱う以上に他人のものは大事に扱わなければならない。

今回の一枚


名前 :メタルワルスラS
タイプ:クリーチャー
文明 :水
パワー:3000
コスト:3
種族 :リキッド・ピープル閃/イニシャルズ
■ブロッカー(このクリーチャーをタップして、相手のクリーチャーの攻撃先をこのクリーチャーに変更してもよい)
■このクリーチャーは攻撃できない。
■このクリーチャーが破壊される時、墓地に置くかわりに自分の手札に戻す。

少年が最強のクリーチャーを出すまでにシールドを守りつづけるという目論見であった(元)最強ブロッカー。
なんでも「破壊されても手札に戻る」から毎ターン出せば無限に守り続けれるので最強らしい。(相手のクリーチャーの数が増えてきたらどうするんだ)
他に低コストのブロッカー達を結集させたが焼け石に水で、軽量ブロッカーの限界を思い知った。
この敗北を以て彼の作り出した最強デッキ「無限オージャ」は悪態と叱責の中解体され、その短い生涯を終えた。

#03 速さのその先へ(前編)≫

≪#01 デッ築道とは!

この物語は実話をもとに構成されているフィクションです



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